渥美半島・天然とらふぐとは?

日本本州のちょうど中心に位置する愛知県渥美半島。
北に三河湾、南に太平洋遠州灘、西に日本3大海流のひとつ伊良湖水道と、3方を海に囲まれ、以前から魚介類の豊富な
水揚げを誇る地域であった。

その中でも、天然とらふぐは、その水揚げの多さだけでなく、品質とともに日本有数の産地といっても過言ではない。

渥美半島が日本有数の
産地となった
3つの要因

その1 渥美半島は全国でも最も日照時間が長く、また、半島の南に黒潮が通っており、温暖な気候である。
ふぐ類は元来、南海性の生き物であり、日本では、関東以北ではほとんど水揚げがなかった。渥美半島では、昔から数多くのふぐ類が水揚げされており、現在でも10種類以上(とらふぐ、からすふぐ、白さばふぐ、黒さばふぐ、ひがんふぐ、あかめふぐ、しょうさいふぐ、ごまふぐ、まふぐ、よりとふぐ、くさふぐなど)が確認されている。
その2 渥美半島の先端、伊良湖岬から隣接する静岡県浜名湖までの約50キロにわたる海岸線は、かつて「片浜13里」と呼ばれた全国でもめずらしい砂浜の続く地域である。
通常魚類は、漁礁や岩場など、起伏のある場所に生息する習性があるが、ふぐ類は、生息において砂泥質の場を好み、通常、砂に潜って眼だけを出して過ごし、餌となる魚やえびなどが近づくと捕獲するという習性がある。そのため、ふぐの生息に最適な場所といえる。
その3 渥美半島の先端北部にある昭和40年代に建設された愛知県栽培漁業センターでは、毎年10000匹以上のとらふぐの稚魚を放流しており、かつてから生息しているとらふぐに加え豊富な生息数を誇る。
とらふぐは回遊性が少なく、生活環境が適した場合、住み着く習性がある。渥美半島一帯の三河湾、遠州灘はふぐの好む海老、蟹や貝などが豊富な地域。そのため、身の肥えた、極上のとらふぐが水揚げされる。

渥美半島・
天然とらふぐの特徴

貴重な天然もの
現在市場に出回るとらふぐの95%は養殖ものである。
日本一の水揚げを誇る三河湾から遠州灘一帯でも年々漁獲高が減少し、さらに希少性の高いものとなっている。
毒を持ち、毒を制す
広く知られているがとらふぐにはテトロドトキシンという猛毒を持っている。これは、とらふぐの、テトロドトキシンを含んだ貝などを身を守るために好んで食し、体内に蓄積させることによる。しかし、この毒は、身、皮、あら、白子には蓄積されないため、有毒部分を取り除くことにより、食すことができる。

とらふぐてっさ

なぜうまい
とらふぐにはほとんど脂肪分はない。その代わり、うまみ成分であるアミノ酸やゼラチンが多く含まれ、昔から美容と健康に最適とされていた。また、性質が大変凶暴で、目の前にあるあらゆるものを攻撃する性質がある。そのため、身質は固く地鶏にも似ており、「海の獣」とも呼ばれるほどである。
旬はいつ
とらふぐの旬は、水温が下がり始める11月から3月いっぱい。これは夏に産卵をするため、身の回復がこの時期に当たることからでもある。冬場の天然とらふぐを、薄造り、焼き、水炊き、空揚げなどで食せば、まさに至高の味。ことに食通の垂涎の的である白子は、1月から3月初めまでが最高で、その全く臭みのないコクのあるうまみとふっくらとした姿は、他の魚の白子とは全く別物といって過言ではない。あらゆる面でふぐ食が世界中で唯一楽しむことのできる日本の食文化の奥深さに感動するに違いない。

ふぐコース料理

角上楼の天然とらふぐの特徴
当館では、渥美半島先端の伊良湖港で水揚げされた天然とらふぐの、十分身の肥えた1キロ以上の物を使用する「恵コース」。 中でも、冬の3キロから5キロ物の極上物は「極みコース」で食すことができ、ややべっこう色をした身は、2日ほど寝かし、十分に熟成させ水分を抜き、うまみ、歯ごたえ、香り、あらゆる面で比類のないものである。
とらふぐの大きさは?
市場に出回る養殖物の平均は1キロ物であり、それ以上大きくすると、歩留まり、使い勝手が悪くなることによる。しかしとらふぐはある程度大きくなるほど旨み、食感がよくなっていく。5キロ以上の物になると、身の色はまさにべっこう色となり、見栄えは劣るが食味は最高である。もしその中に白子があったなら、その大きさで1キロほどはあり、感動するほどである。では、仕入れた最も大きいとらふぐは角上楼ではどのくらいか?最大の物で15キロあり、白子においては3キロ以上あった。